まず聴いてほしいアカシック10選プレイリストー横浜セレクションー
本当はコフレの中に突っ込んでおきたい
同じことの繰り返しじゃいけないと思ったんです。
何が言いたいかと言いますと、アカシックが好きで好きでたまらないという思いを吐露し続けるだけではダメではないかと。もっと同じ沼にハマる人を増やしたいんだと。
もう、はちゃめちゃに良いバンドだということは保障します。
魅力についてブログで先に読みたい人は私の過去記事も読んでください。
けどまぁ、やっぱりあなたを耳で確保したいんです。
本当は女心をここまで掴める曲のよりどりみどりバンドなんで、CDを百貨店の化粧売り場で売り飛ばしたり、婦人服の値段書いたタグと一緒にiTunesのQRコードぶら下げたりしたいんですが、私は権力のない一般人なのでプレイリスト作りました。
夏の夜、横浜に向かう車の中で聴いて運転できないくらいテンション高ぶるプレイリストがテーマです。*2
歴代アルバムから少しずつ曲を入れてライブ感ある曲順を目指しました。愛の10曲。
横浜コレクション
エリザベスロマン
宣戦布告のドラムから始まる熱く饒舌な演奏、凶器みたいなメロディによって構成される、中毒性と疾走感が惜しみなく詰め込まれた曲。直球の辛辣さ、皮肉が終始映画のように語られる。
「悪意で溢れた女は闊歩の仕方を知らない」と言ってのけるのは、歌詞を書く理姫さんが弱さから這い上がる女の強さ、それを美しくしてしまう気品を携えて歌う人だから。
プリチー
アカシックの名刺。閉じ込められないほど詰め込んだ個性。「ティー」ではなく「チー」なのがこのバンドの茶目っ気。
恐ろしく「ピンク」で毒まみれの曲なのに、最後には爽快感が上回ってくる。
「雨上がりの虹のように 女の意地を 見抜いて」
こういう乙女心のチラリズムが快感。
ベイビーミソカツ
「奥脇達也」という男が曲になった感。歌よりも感情的なギターがオラつく。
退屈さも不安も幻滅も、全部ひっくるめて恋心なんだという噓偽りのない表現。
生活の気配がする「ミソカツ」というたった一単語で、曲の世界は私たちの日常にすんなり落ちてくる。
切なさを生み出す正統派ポップロックは、奇をてらわずとも人の心は奪うことができると言わんばかり。
邪魔
技巧派リズム隊が黙っちゃない、聴く人すべてを覚醒させてしまう曲。
「アスファルトに降伏してゴミになりました」、「骨を血を飲んでもあたしだけのものに出来ない」などフレーズで人を圧迫する。
病んでるなんてとんでもない、美しさを捨てないバランス感覚の良さもお忘れなく。
幸せじゃないから死ねない
アカシックの持つ、全ての女を受け入れてくれる強さは「死にたい」ではなく「死ねない」と歌うところに表れる。
曲中に登場する「高給取り/風俗嬢/ホスト狂い/キャバクラ嬢」という人物像が仮に自分とリンクせずとも、愛を失う痛みと幸せへの枯渇は誰も無視できない肉声であり生きる意味。
絶望の足音のようなアルペジオから絶叫のアウトロまであっという間の衝撃。
ヨコハマカモメ
カモメが飛ぶ空と海の似合うアカシックの醸しだす、悲しみの暴風雨。
「ケバい女」が吐露する本音、「港のブルー」、「小説でしか見かけない気持ち」、すべてがあまりに横浜の街に似合いすぎる。
涙の味がするのはギターがあまりに私たちを責め立てるから。
このバンドの専売特許目白押し。
女
優しくて甘い愛、女性としての誇り、しなやかな自信。
自分たちの世界を守りながらこういう歌が作れる才能は絶対に埋もれてほしくない。
歌詞の「イカシタ女」がすべて音に反映されているようなシンクロ具合。
演奏の「よくわかっている感」が心地よい麻薬になってしみ込んでくる。
憂い切る身
大海原にダイブする瑞々しさ、一途の尊さ、永久への畏怖。
真摯な生き様を反映する透き通ったサウンドは世間のバンドイメージを覆す。
声に宿る決死の覚悟に鍵盤が追い打ちをかけてくる。
聴く人の好みを問わず心臓にダイレクトに届く衝撃作。
終電
ざらついたギターから始まる真骨頂。渾身の一撃、悲哀。
悔しさをこらえて乗り込む満員電車、酔いの覚める白けた気分、我慢できずに辞める禁煙。
そんな痛ましさに身に覚えのある人は、聴かないと人生変わるぜ。
骨のようにシンプルな言葉たちに油断してると泣かされる。
鶺鴒
最後に好きな曲ぶっこんでしまった。でも聴いてほしいんだよ、おねがいよ。
哀愁、後悔、茫然、寂寥、苛立ち、憂鬱、やるせなさ、いくつ感情搭載してんのさ。
それをあっさり枯れたお洒落ナンバーに美しく仕上げてしまう力量の恐ろしさ。
物語の中に聴き手を置いてきぼりにする歌詞は何度読んでも芸術。
フェードアウトしていくアウトロが私たちを恍惚の中に誘う。ギターとベースの駆け引きを一生聴いていたい。
8ミリフィルム
曲数を見てはいけない。私の中の10曲が何であろうと、これを差し置く訳にいかないんだ。言ったろ?「ライブ感ある曲順を目指しました」って。今からアンコールなの。
あまりに人の耳を仕留める能力の高いメロディは、JPOP全盛期の良さを感じさせる圧倒的強さ。
「誰とも結婚なんてしないでねさよならだけして」など、大人になったからこそ揺さぶられる歌詞の畳みかけが止まらない。
音楽は曲からという人にも、可愛くキャッチーなのに切実で巧みな歌詞を一読してほしい。
何が秀逸かって、ギターベースドラムキーボード、何一つ乱れも無駄もない演奏の精巧さ。早く天下とってくれ、アカシック。
「終電」「幸せじゃないから死ねない」収録 『コンサバティブ』
「プリチー」「鶺鴒」収録 『プリチー』
「ベイビーミソカツ」「女」収録 『Dangerousくノ一』
「8ミリフィルム」「ヨコハマカモメ」収録 『凛々フルーツ』
「憂い切る身」「邪魔」収録 『エロティシズム』
「エリザベスロマン」(アルバムは会場限定盤!) 『POP OFF』