好きにさせてよ。

好きにさせてよ。

偏食な趣味を、つらつら綴る。字圧強め文字のブルドーザー。可愛い連中/モーニング娘。など

今更演劇女子部を観てハロプロに謝らなければと思った話

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コロナ禍が運んだ突然の新境地

 

ハロー!プロジェクトのアイドルの皆さま、そしてご関係者様各位。
この度は、「演劇とか舞台までは手が回んないよ…」みたいな弱腰でオタクを名乗っていたことを猛省いたします。誠に申し訳ございませんでした。

 

そんな訳で、私みたいな演劇女子部未履修オタクに告ぐ。
あなたが推しているアイドルへの敬愛がより一層深みを増すぞ。

 

ステージで歌って踊ってるのがアイドル?
演技のお仕事は彼女たちの本業じゃない?

 

目を覚ませ。彼女たちはエンターテイナーだ。私たちを虜にする能力に長け過ぎた必殺仕事人集団だ。

 

笑顔で乗り切るコンサートでは見たことない感情豊かな表情、役をこれでもかと憑依させた台詞回し、三日三晩人を余韻の渦で溺れさせる脚本。

もう一度、告ぐ。自分でも想像を容易く裏切るくらいハロプロへの愛が増す。
一緒に涙腺の湿度を100%にしよう。

 

 


と、少々荒っぽい言葉にて畳みかけましたが。要するに拝見した演劇女子部作品の感想兼お誘いです。
私みたいに「気づくのが遅かった!」と悔やむ方を減らしたい。


余裕で4連休どころか4ヶ月くらい不要不急の外出控えられる気がする。(という4連休すべてお仕事な私の妄言)是非ともご同行願います、演劇女子部への沼。

 


※注意

相当なるネタバレを含みます。目次記載の作品をまだご覧になっていない方は厳重注意をお願い致します。
あと、繭期は制覇できていないしファラオも1作しか見れていないので「考察」的観点は省きます。
ちなみに私自身は全くネタバレを気にしない(むしろネタバレを読んでから視聴する派)ので、オススメ作品があれば教えてほしいです…とりあえずU-NEXTのアカウント今生きてるから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

 

この日、私の墓をウルジナに立てた―「ファラオの墓〜蛇王・スネフェル〜」(2018)


粗暴だけど気高くて弱い国王と、悲しみの中で愛を見失わない姫


石田亜佑美演じる国王スネフェルの治める国に国籍を移したい。

 

序章の通り演劇女子部の魅力に気づかない鈍感な人だったので、ぬるま湯くらいの熱で再生ボタンを押してしまった私。
致命傷を負うとも知らずに。
そんな私が、視聴後のたうち回りながら悶えたときの心の声。それが冒頭の意味不明発言です。

 

私は、石田亜佑美という人間を見くびっていた。
いやめちゃくちゃダンスのキレが良いこととか、煽るような声とかラップとか激かっこええのにしっとり可愛く歌うこともできてギャップの高低差すごいとか、人間性が完成されすぎてて推してて幸せだろうなと思わせてくれるところとか…
わかってた、わかってたつもりなんです。#だーまーはいいぞ 推進機構所属ですし私。


そんな私に張り手が飛んできた。そびえる衝撃が尋常ではない。

 

ヅカを履修したことないので安易な発言は控えるべきなんですが、演じる性別の壁なんか軽々と乗り越えちゃう亜佑フェルの威厳は本当に痺れる。

 

国同士の動乱を象徴するような歪な親子関係のもとで育ってしまった、孤独の王スネフェル。
凶暴で残忍な振る舞いを止められないが、彼のすぐ背後には脆弱な不安がつきまとう。
国王としての誇り、重圧、孤独の中での葛藤、そのすべてを人に悟られないように生きる気高さもある。
めちゃくちゃ堂々と演じているけど、めちゃくちゃ繊細な役どころ。


ここで求められているのは「悪役」スネフェルではなく、「初めて触れる愛に心を揺さぶられる悲劇の主人公」スネフェルなんですよ。

 

そのあたりの高難易度の人物描写について、亜佑フェル非の打ち所がない。
国王としては暴君なのに、なんか途中から好きで好きで仕方なくなってくるんですよ…亜佑フェル…彼女ってば、スネフェル様の人格を壊さぬまま「弱」の感情を演じたりできるのよ…何者…
いつものだーいし感とかどこに置いてきたの?むしろ彼女に宿ったスネフェル様が強すぎて気軽に亜佑美って呼べない。


その亜佑フェルの心を開く敵国エステーリア国王の妹、ナイルキアを演じるおださくがこれまたもう!!!!
(語彙が足りないとすぐエクスクラメーションマークに頼る語彙のないオタク)


小田さくらって多分あらゆる<女性>の声を出せる怪物歌姫なんですよ。
その声質で語るからこそ、穢れなき愛の言葉の説得力が最大になる。


登場シーンこそ実はそこまで多くなくても、さくらキアの大きな目がちゃんと「お兄様と離れて辛い」「スネフェル様と出逢えて幸せ」って感情を映してるんですよ。
だから亜佑フェルの気持ちが変化していく様子に違和感がない。
眼光鋭く人を信じずに生きてきた亜佑フェルの表情が、だんだんと崩れていく場面を見て「ああここで一時停止してそのままにしておきたい」と思った。(どう考えてもバットエンドな気配が冒頭からプンプンしていたので)

 

<アイドルとしての自分らしさ>を封じ込めて孤独の王スネフェルを憑依させる石田亜佑美、持ち合わせた声やお顔立ちの<女性>らしさを最大に活かして自分のパーソナリティを演技に反映させる小田さくら
演技のタイプが違う二人だからこそ、各々の煌めきが最大値になったように思いました。なんというだーさく。

 

三者三様の「勇ましい」姿

亜佑フェルの気難しいけれど気高さを忘れない国王の振る舞いは前述した通り。
この亜佑フェルの圧倒的強さを前に、自分らしく演じるって難しいよな…油断するとすぐ侵略されそうだもん…

 

敵国エステーリアの王サリオキスを演じるかえでぃーは、オタクが求めるかえでぃーの男性役って感じ。
凄惨な過去に屈することなく直向きで、守りたい人のために勇敢で、戦を終わらせることで平和を取り戻そうとする真の勇者。
「砂漠の鷹にしか抜けない剣を抜くことができるサリオキス(加賀楓)」って説明文書くだけで優勝。

 

孤独しか知らなかったスネフェル様に、人々の望みを託されて戦いに向かうサリオキス。
この闇と光みたいな強烈な関係性によって私たちを釘付けする二人。私は加賀オタさんの寿命が心配である。
殺陣は瞬きも許さない緊張感を出していたけど、サリオキスの信念が丁寧に演じられていたから私たちがのめり込めたんだとも思う。

 

でも!そんな二人に負けず劣らずインパクトを残すのが野中ちぇる演じるイザイ!!!好き!!!!!


野中の良さって渋さにあるというか。歌とかもそうなんだけど。華を添えるというよりは、旨味成分アップみたいな(絶対伝わらない)
そんな彼女の魅力がこんなにも活かされる配役があったなんて…胸が苦しい…
敵か味方かわからない不敵な笑みから、加賀オキスを駆り立てる逞しさまで、現代日本にタイムスリップしたらイザイが一番モテるんだろうなくらい思ったよ。

 

 


マリタとジクの配役を決めた方に金一封を送りたいので名乗り出てください。

超悪役ケス宰相に仕える部下マリタジク
いわば同僚でありながら、手を取り合って協力するぜ!という関係性ではなく「あんたはあんたでどうぞ」くらいの距離感。
悪役同士かつ乾いた間柄の二人を生田衣梨奈佐藤優樹にしようって言ったの、どこのどなた…

 

えりぽん悪魔的美貌をフル活用した妖しげなマリタも、何しでかすかわかんない危なさを醸す奇才まさきちゃん演じるジクも、単体で既に最高なんですよ。
そんな異質な魅力を持ち合わせた二人が近寄ったり離れたりすると、決して交わらないけど都合よく関わる冷徹さがより鮮明になって映える…
(まあ実際に、絶対交わらないけどなんかどこか似ているいくまーを普段から見ているからこそ思うのかもしれないというまー推しの独り言)


だーさく同様、元々のパーソナリティを上手に活かすタイプのえりぽんと憑依して覚醒するまさきちゃんなのがまた良い。
たくさん台詞がある訳でもないのに、いくマリタとまージクが出ているシーンはずっと目に残像がある。

 

ちなみにファラオ'17はキャストだけ見た。
他のキャストはどぅーフェルとか小田オキスもどぅーオキスもナイルちぇるも全部見てぇと思ってるけど、マリタとジクはこの二人じゃないことにショック受けた。
勿論はーちんがダメなんじゃないんだ…はーちんの悪役もそれはそれで見たいんだ…
そのショックから立ち直ったらファラオ'17の円盤買います。はい。

 

 


このままだと次の作品にいけないので他メンバー感想はさらりと。

アンケスエン(真莉愛)
無垢で慈悲深いのに本物の愛がわからずに生きているから彼女もまた孤独で、という役柄が彼女個人にとても合っていた。
自然体の真莉愛っぽさが良い作用をしていた感じ。

 

トキ(ふくちゃん)
もーーーーーーーあなたはストーリーテラー的存在が抜群にハマるーーーーーーーー
役そのものは侍女なんだけど、世界を俯瞰する女神的なポジションを演じるのに適役すぎるのよ特に声が。
さくらキアとは違う声の説得力が最大限に発揮されていましたね。
その二人が歌唱の要になるモーニング娘。ってやっぱり強すぎる…という原点回帰。

 

アリ(ちぃ):
普段も時々覗かせる「やんちゃ感」が前に出ていて可愛かった…
でもこの人も多分ものごっつい悪役とか似合いそうなんだよな。次作ではガラッと印象変えてほしい。

 

パビ(ねちん)
アリとパビがこの劇での良い息抜きタイムになってたと思うんだけど、割と「オタクのゾーンが入っときのねちん」のまんまでした(笑)
始終シリアスが好きな人もいるかもだけど、ねちんが作るクスッとした空気感もよかったよ。

 

ネルラ(はるなん)
残念要素を排除したただの美人はるなん…で来るかと思いきや思いっきりはるなんでしたね(笑)

 

ルー(よこやん)
これまたよこやんでしたね(笑)彼女は圧倒的に華。太陽。出るだけで空気が明るくなる。歌同様、まだまだ化けるだろうなと信じているのでよこやんを超大役に据えた舞台が見たい。


余談ですが、このときまだメンバーに居なかった15期の演技も超見たくなったよ。なぜか。
莉央ちゃんはふくちゃんおださく系統の声に説得力あるタイプな気がする…姫を、お願いだから姫を演じてほしい。かえでぃーを添えるので。
加賀王を取り巻く小田姫、真莉愛姫、莉央姫、そして母君ふくちゃんとかにしよう。


ほまれはコミカル担当かと思わせといて、闇落ちする役とか…どうでしょう…にやりとするほまれが見たい…でもお顔立ち的にサリオキスみたいな役をしてもらって「THE 少年漫画!」にするのもいいな。


愛生ちゃんの悪役は、涼しげで軽やかに残酷なことするみたいな、予測不能の役が良い!譲らん!!男性役するならイザイポジションだ。

 

 

 

 

そのとき私は工藤遥の未来を受け入れた―「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」(2014)


諦められなかった<モーニング娘。工藤遥>はファルスのイニシアチブによって居なくなった

 

本当に私余談しか話してないかもしれないんだけど。

 

モーニング娘。でもっともっと大人になっていく工藤遥さんを見たくて仕方なかったんです。ええそうですよ2017年にモーニング娘。の素晴らしさに気づいてしまったオタクの負け犬の遠吠えですよ…


リーダー石田亜佑美サブリーダー工藤遥、飛んでサブリーダー小田さくらの世界とか見たかったじゃないですか…*1

 

けれども。工藤遥演じるファルス…というか、工藤遥の身体に入り込む狂人ファルスを見て確信した。そりゃ女優の道を考えるわ。

人生変わるわ。中二病になって煮物作り出しても納得するわ。元気になるわ。

 


あの八重歯が吸血鬼っぽくて似合いそう~くらいの認識だった視聴前の私をサナトリウム*2にぶち込みたい。

 

どうやって、どんな真実が明らかになるのかは予測不能でしたが、ファルスが諸悪の根源になる役なんだろうなということは、薄々…いや結構露骨に伝わってきてたんですよ早めの段階で。
そういう心構えを以てしても、私たちに「演技」の衝撃を次々ともたらすファルス。


声を裏返すように笑う狂気も、瞳の奥に透けて見える孤独とか、不老不死という残酷な企みが本当に実現できると信じている正気の失い方とか。
「こいつガチのやばい奴だ」感を天才的に放つんですよファルスったら…。


舞台前半ではあんなに「オタク女子の妄想ツイートか」と思うほど、女心を翻弄する軟派男だったくせに。
こんなに好感度を奈落の底に叩きつける哀れな役を演じるアイドルって何者だい…まだ中学生くらいだろ工藤遥

 


前章のファラオの話をちょこっと。
亜佑美が演じるスネフェルが抱える闇は雨というか、ナイルキアと素敵な巡り合わせで出逢えていたらきっと晴れ間が見えていたのになという暗さなんです。
一方、工藤遥に宿るファルスという人間の抱える闇は、もっともっと濁っていて、修復する術を持たないというか、取り返しのつかないほど荒んでいるというか。
そしてその光の差すことがない世界で生きるファルスを、工藤遥さんは本能的に楽しんで演じているように見えました。
なんというか、憑依を超えているんだよな。
ファルスが今度は工藤遥のイニシアチブまで掌握してしまいそうで、言葉を探すなら<侵略>が近いかもしれない。

 

うん、見て良かった。女優工藤遥の才能が満開に花開くこの作品を見過ごさずに生きることができて本当に良かった。
モーニング娘。工藤遥>に悔いはなくなったから、ちゃんと円盤の中で楽しむね。

 

 

儚くて美しいリリー、スノウ、マリーゴールドの造る世界観

鞘師はもう誰が何と言おうと主人公。生き方が主役でセンターでエース。
彼女が「真っ直ぐすぎるが故に触れてはいけない真実にたどり着いてしまう」という悲しいリリー役を演じるというのは、誰も否定できない答えみたいな配役。

 

一緒にいたはずなのに突然いなくなり誰にも覚えられていないシルベチカを探すうちに、知らなければ良かった真実にたどり着いてしまう。


実は不老不死であるファルスが全員の記憶を消して皆に不老の薬を飲ませることで、運命共同体になる仲間を探していること。
シルベチカは、もうずっと前にファルスの企みを知ってしまい、そのときに自らの命を絶っていたこと。

 

簡潔に書いてもあまりに救いのない話なんだけど、これを私たちは鞘師里保の目線で見るから余計にな…
「さやし、ぜったいまちがってないもん!」って思って見ちゃうから残虐さが振動まで肌に伝わる。

 

ファルスの企みを阻止するべくサナトリウムの皆を殺し自らも自死を図るも、生き残ってしまうリリー。何度刃で貫いても止まらない心臓。


物語の終焉としては本当に素晴らしいんだけど、鞘師が背負うものが辛すぎて病む。
でもなんか、「鞘師里保」がサナトリウムにいても、同じ選択をしそうだなぁ…とふと考えたり。
上手に個人の人生観とリリーがシンクロしていたように思います。

 

 

そんなポキッと折れてしまいそうな程の真っ直ぐさを抱えて生きるリリーに対して、真実を知りながらそれをひた隠して生きるという残酷な運命を背負うスノウ
他の人には見えない物事を知る少女、として和田彩花を配役したのも素晴らしき采配ですよ。


似合う。少し陰った澄んだ目つきとか、ファルスに支配されながらもリリーを真実に近づけたくなくて苦悩する様子とか。
とにもかくにも「静」の演技が非常に良かった。
全部が全部「あやちょから謎に生まれる神秘的オーラ」によって崇高な世界になってるんです。ただの弱弱しい女の子にならない不思議。

 

圧倒的主人公が故に悲劇を招いてしまう鞘師リリー
見るものを一気に創作の美しい世界へ誘うあやちょスノウ
奈落の底で高笑いしている悪役工藤ファルス遥

 

大河ドラマなら信長秀吉家康級の、誰が主人公でも文句ない存在感。
この三人に割って入るのが…大女優田村芽実なんですよ…鳥肌…
迫害されてきてあまりおしゃべりが得意じゃなさそうなマリーゴールドを表現する能力が尋常じゃない。

 

 

ダンピール(吸血種と人間の混血)として生まれたために迫害されて愛を知らずに生きてきた、というマリーゴールドの存在こそ、この作品の惨さを加速させ、より一層深刻なものに仕立てるんだと思うんですよね。

 

シルベチカを探すけれど見つけられないリリー。

そんなリリーを止められないスノウ。
自分の孤独に道連れにするものを作り出すために少女たちを操ろうとするファルス。


そして、初めて手を差し伸べてくれたリリーに異常なまでの愛を抱くマリーゴールド

 

 

みんな孤独なんですよ。この世界の人たち。
けど、「孤独だね、寄り添って生きていこうね」で済まないのが人間の欲深さというか。


「愛している人(=リリー)を私のものにしたい」


「愛している人を奪う人(=スノウ)を許さない」


「愛している人のためならなんでも厭わない(=マーガレット親衛隊を噛んでイニシアチブを手に入れ、スノウを殺そうとする)」

 

というどろっどろの愛憎を、激ヤバミュージカル歌唱で歌い切るめいめい…
ファルスとは違う気の狂い方、見ていて背筋張り詰める…

 

シリーズ作品を見ている方のお話だとファルスも本当はダンピールのようですね。
マリーゴールドの孤独は、ファルスの抱える孤独でもあったのかもしれないと思って振り返るともっともっと胸が痛い。

 

偶然にも、リリー、スノウ、マリーゴールド、ファルスの4人は卒業したけど芸能人しているんだよ。
この4人だけは絶対固定で再演しねえかなとオタクは期待しています。

 

 

 

爆裂長いのでそろそろ全体を。

 

チェリー(亜佑美
「可愛すぎる島田珠代が第一印象(笑)
おそらく後半との落差で人々を絶望に陥れるための前半パートの緩さだったのかな?
そこは賛否両論(もっとシリアスにしてよ、的な)あるかもですが、前半部分の口角がつい上がってしまう展開は間違いなく彼女の功績。
「だーいし」感の最高の使い方。双極状態の「躁」だったんだろうね。
なお、チェリーは実はダンピールであった(だからドブネズミの匂いがした)上に、それに自分から気付いて演じたという話を聞き…アユミイシダの覚醒の気配が既にぷんぷんしておる…

 

 

カトレア(たけちゃん)
コミカルあゆみんに張り合えるの、そりゃたけちゃんだよなあ…(笑)
ひたすら退屈を嫌がるの、人間の思春期っぽさあったね。若いころはなんでも退屈は嫌だからって怖いもの知らずで動いたからね。
皆を明るくしてしまう彼女のパワーが活きてて良かった。

 

ナスターシャム(りなぷ~)
淡々と素でいることが面白い、という生まれ持った天性の良さを詰め込んだ配役でしたね。
「しれっと」という言葉がハロプロ1似合うのかも。
こんなシリアスな場面でもそんな台詞挟み込むの!?みたいな場面いくつかあった。

 

ローズ(ずっき)
チェリー、カトレア、ナスターシャムを捌くツッコミがうますぎる。
ふざけまくるチェリーカトレア、浮遊感あるナスターシャムに割って入ることができるのは謎の色気を含んでいて存在感たっぷりなあの声質のおかげかも。

 

竜胆(ふくちゃん)紫蘭(まろ)
飴と鞭の関係性がよく出ていた。めっちゃ通るまろの声でビシバシと物を言い、柔らかい声のふくちゃんがフォローする。
物語を進行するリリーたちと、コミカルにテンポをつくるチェリーたちの間を上手く繋げたのはこの監督生二人が器用に演じたからじゃないかしら。
もちろん主観よ、ずっと主観で話してるけど。


「お館様について何かを知る」部分も良い具合に漂わせていて適役だった。
ちょっと紫蘭の方が繭期こじらせてそうで、竜胆の方が諦めの境地っぽい感じがしたんだけどこれは元々の人格を知っているせいだろうか。

 

 

シルベチカ(おださく)
あんたって子は…

ファラオのときのナイルキアといい悲劇の女性がどこまで似合うんだ…

一生おださくの演じる役は幸せになれなさそう(笑)


葬送終曲「聖痕≪スティグマ≫」の人選本当に良かったね。
リリー、シルベチカ、紫蘭マリーゴールド
行方不明の役なので出番少ないんだけど歌の力で爪痕残しまくるの流石すぎます。

 

キャメリア(かななん)
かななんに男性役をしてもらおうと決めた人~~~~~~~~センス良すぎ~~~~~~~~~~(狂喜)
今まで知らなかった魅力にやられたのはキャメリア。
多分ファルスが狂気全開だったせいで対比もあるかもしれないけど(笑)
愛していたシルベチカを待っていたのに、実は彼女が自殺したという記憶さえも失っていたという惨たらしい真実を知る役をめちゃくちゃめちゃくちゃ誠実に演じてたと思う。
キャメリアとシルベチカに来世は幸せに生きてほしい…

 

 

マーガレット(まーちゃん)
推し贔屓抜きにしても(抜けるかわかんないけど)、インパクト大賞ですあんな怪演


話の展開上、どう考えても「モブ」なんですよ。マリーゴールドにイニシアチブ掌握されてスノウの命を狙うけど、操る方のマリーゴールドがメインですし。
その「モブ」という立ち位置を弄ぶように、「ステージの上でもずーーーっとまーちゃんはまーちゃん!」のまま過ごす開き直り。


それでいて、「自分のことを姫君と勘違いしている、相当に繭期こじらせたヤバい少女マーガレット」でもあるんですよ。
一つの身体に、同時に「まーちゃん」と「マーガレット」が宿ってる感じ。
やべー子がやべー子を演じるとこんな化学反応起きるのか、と推しなんだけど末恐ろしいなとぞくぞくした。

 

ちょっと話逸れるとマーガレット親衛隊に莉佳子とかえでぃーがいることに後追いファンは感動しました…かっわええ…
「ささき、たなべ、かが!上手に捌けるわよ!」で笑いすぎてさすがに一時停止押した。

 

 

 

 

 

宮本佳林を視界から奪う魔物、稲場愛香―「タイムリピート〜永遠に君を想う〜」(2018)


不動のセンター宮本佳林と、その隣に割って入る稲場愛香の正反対な演技

 

Juice=Juiceと書いて宮本佳林と読む。
と言ってもそれほど間違いじゃないくらいにはJuice=Juiceのセンターエースアイドルサイボーグ佳林ちゃんの存在感ってものすごい重量感あるじゃないですか。
この舞台でも主演の一人なんですよ。やっぱりちゃんさんが居ないと!って思わせてくれる。期待に応える最高のアイドルなんですよ。

 

ところがどっこい。
ちゃんさんが期待以上の迫真の演技を見せてくれたにも関わらず、その上をいく期待以上の演技で私たちを沸かせるもう一人の主演。
それこそが、Juice=Juiceに入って日の浅い稲場愛香なんですよ…
いなばっちょとか、まなかんとか、軽々しく呼べねえ。主演女優様です間違いなく。

 

初っ端からネタバレぶっこむと、まなかん(もう呼ぶ)だけが生還できないんですよね。


「全員死ぬエンド」なのか、「まなかんだけ死ぬエンド」なのか、激しく動悸を打つ心臓の音をBGMに見ていたのですが、「そっちエンドか…」と落胆しました。のめり込みすぎて。


他の演劇女子部は見たらすぐtwitterに「見た」とか呟いたんですけど、今作はまなかんバッドエンドを引きずってしまって当分心の中にないないしていました。

 

ちゃんさん演じる宇宙物理学者ソーマは、がっちがちのフィクションなキャラクター。
「今時オタク役を演じてくださいって言われてもここまではしないでしょ」というくらい、たどたどしい話し方、女性慣れしていないオーバーなリアクション、考え込んで周りが見えなくなり早口になる没頭っぷり。架空のSF世界で、いかにも造られた世界で演じるからこその演技とでもいえば良いかな。


これをハロプロのアイドルサイボーグが演じるのだから、そりゃもう失敗するわけねえよ…とため息が漏れる。
あまりにソーマが完成されすぎてて、時々「これは佳林ちゃんさんなんだ」ということを忘れる。(なのでミュージカルの場面で目を瞑って佳林ちゃんの歌声を聞くことで「ああ、やっぱりこれはちゃんさんだ」と思い出す作業を時々していました)

 

 

それに対して、まなかん演じる鉱物学者ルナには、わざとらしいキャラ設定はありません。


人と仲良くなるのが苦手で、仕事熱心なあまり厳しい言葉も吐いてしまうという性格も、(現実離れしまくったソーマのキャラ設定と違い)とても自然な人間像です。
要するに、「普通の女の子」なんですよ。

 

いかにも「キャラクターっぽい」役の方が、「なりきる」という演じ方ができると思うんです。
ルナには、そういう「なりきる」演じ方をするには誇張された特徴がない。演じなきゃいけない。けれど、ガラリと人間性を変えるような過度な演じ方はできない。


「宇宙船に何かが衝突して死ぬ直前に、タイムリピートをしてしまう」という創作らしい設定。
濃ゆすぎて「これは人が死ぬかもしれない緊急事態を描く舞台だ」ということを忘れてしまうくらいに強烈な他の登場人物たち

 


この脚本の中で、人の優しさに触れて、少しずつ心を許していく姿を、せっかく誰かのことを信じられるようになったのに本当は自分が裏切り者であった記憶を取り戻し絶望する姿を、表現しなくちゃいけない。

 

 

まなかんはね、演じ尽くしたんですよ。
繊細な役どころである「ルナ」を演じきって、心が動いていくさまを自然に見せて、「自分だけが死ねば皆が助かる」という悲しすぎる答えを導くことさえ必然にしてしまった。

 

大袈裟なくらいに作りこまれた想像上の人物ソーマを妥協なく宿らせる宮本佳林
(オタクキャラなのにちゃんと誠意があって人間不信なルナを心変わりさせることができるソーマを演じているのがこれまた圧巻)
血の流れる温度が伝わるようにルナの苦悩を、孤独を、人を信じることができたひと時の幸せを演じる稲場愛香

 

張り巡らされた伏線から、物語のからくりを予想する楽しさがここに乗っかるんですよ。
名作に決まってるでしょ…。


脚本でいえば三作見て一番好きだと思う。U-NEXTに今はないことが悔やまれる。

 


達者すぎる助演に拍手喝采

この舞台で、「主演と脚本以外に印象深いことは?」と尋ねられたらぶっちぎり高木紗友希さんのエイジ。

 

あなただけスタジオや事務所ではなく八剣伝で演技練習しましたか?って聞きたいくらい、技術屋のおやじくさいんですよ。


そんなの、足をかぱーっと開いて座ったからって醸し出せる雰囲気じゃないよ…
この前エイジのダメージを抱えたまんま小田さくとコラボした「逢いたくていま」の激アツカバー聞いたら脳みそが混乱したよ。
顔認証システムでもエイジのときのさゆきと普段のさゆきだったら別人判定すんじゃないかな。

 

本当に、ルナ以外はこってこての創作っぽいキャラなんですよ。
いかにも「お笑いパート」みたいな時間は少ないんだけど、登場人物の個性が際立つように脚本が作られているから、とても自然な流れでふふっと笑えたり、次の展開にハラハラしたり切り替えられたんです。
そのふふっと口元ゆるめちゃう理由の多くがエイジの存在感でしたね。本当に良い役だった。

 

おっさんと渡り歩かなくちゃいけないもう一人の男性役(笑)、金澤朋子さんのジンも味わいがあって良かった。
こっちはおっさんというより頼れる上司。まじ採用してくれ雑務で良いから。
あの宇宙船から降りた後に二人で朝まで呑んだくれて家に帰ってほしい…ジンの失恋話も聞かないといけないからね…
どっちも名演だったんだけど、日頃から「暴君」として称えられるかなともよりさゆきの方がギャップが大きくて驚きました。という話です。

 


期待を良い感じで裏切ってくれたのはゆかにゃ、るるちゃん。
「意外そうな人が怪しい」というありがちな説だけど、ゆかにゃ演じる船長は本当に途中まで「絶対黒幕じゃん」と勘違いしてたよ~
含みのありそうな人物像を演じてくれたおかげでお話がより楽しめた!
日ごろのゆかにゃとは違う「出来る女」感マックスな演技が、こんなに似合うとは。

 

るるちゃん演じるツグミは、ゆかにゃが悪い人ではないとわかった時点で怪しい人だったんだけど。
段々と思い詰めていて苦悶する表情を浮かべていたから、更に先の「ツグミとルナは元々スパイとしてこの船に乗り込んだ(がルナは忘れてしまった)」という展開に心の底から驚くことができた。
これがるるちゃん初舞台だって??まじかよ。今度はもっと悪くて悪くてたまんない役もしてほしい。


やなみんロスに陥る人が多いのも超わかる気がした。
あの淡々とした頭脳明晰な医師のマドカを演じつつも、なんか愛らしいというか、飄々としていて彼女の良さがちゃんと出ていたように思います。
あ~~やなみんがいる間にJuice=Juiceのライブ行けばよかったコロナ落ち着いたら絶対Juice=Juiceの現場行くもん

 

あーりーは、あまりにあーりー過ぎる配役で「万が一このすっとぼけ料理長リョウが黒幕だったら脚本家さん胴上げしたい」と思っていた。(スパイであることを明らかにする薬を食事に入れられるのが料理長だから、自分だけ飲まないということも可能なのではとか色々疑っていた)

 

けど、ふっつーにすっとぼけた料理長のまんま終わりましたね(笑)
卒業までに闇落ちあーりーは見れるかしら。顔立ち的には男性役も良いよね。

 

 

ハロプロの強さをふと感じて涙

他の舞台と違う点で「これは言いたいぞ!」ということがありまして。


あの、きちんと雨ノ森川海ちゃんを見るの初めてだったんですけど…ビタミンミーしかまともにMV見たことないの…

 

なんでこんなにJuice=Juiceメンバーに遜色なく混じってんの??デビュー前でしょ???
これメンバーのこと詳しく知らなかったら「全員Juice=Juice」と勘違いするよ?????

 

特に軍人レオナを演じる高瀬くるみさんとか、「芸歴何年ですかこの方」っておださくにしか抱いたことない感情を久々に感じた。人生タイムリピートしてんのかな…
人を威嚇するときの圧とか、語気の強め方とか、ちゃんと修羅場くぐって命があることの尊さを知っている厳しい軍人さんみたいなんだもんな。

 

エイジの部下の機関士テルを演じる清野桃々姫さんも達者だった。
ちゃんとおっさんの子分だった(笑)
謎解きできたぞ!と思わせておいてテルも真実は何も知らなかった、というところも私たちをもう一度思考の迷路に突き落とした感じの構成でビックリしたね。


夢羽ちゃんと美波ちゃんめっちゃんこ可愛いし…
前ここちゃんはスッとした身体に軍服が似合うし…

 

 

こんなハイスペック集団同士がくっついて出来たのがBEYOOOOONDSなんだね、と考えるとハロプロ全体も改めて見直しました。
いやいつも「グッズ発送遅いけど良い事務所だ」くらいには思ってますよ?
コロナに負けず頑張ってね???

 

 

 

エンターテイナーへの敬意を表して

 

こんな事態になるまで、いかに私はたくさんの人の経済活動によって生かされているのか気付かなかったんですよ。
でも、演劇女子部を見て改めて「私に元気をくれるアイドルやアーティストたちに会える日まで生き延びるぞ!」と心に明かりがともりました。
晴れの日があるからそのうち雨も降るっていうじゃん。ね。
すべていつか納得するために、あと少し踏ん張りましょう。

 

 

 

 

 

 

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*1:飛ばしたのは卒業を願っているとかそんなことでは絶対なくてむしろ無印のまま奔放に生きるのがサトーマサキなんですよ

*2:吸血種は繭期というこじらせた思春期の時期にこの療養所に収容される