あらゆる女は可愛い連中を聞いて幸せになれ
こちらのツイートからの続きです。
(その壱)始動したてですが「可愛い連中」という私が敬愛する音楽プロジェクトがあります。
— 月野にこ (@tsukino_25) 2020年1月21日
私は彼らの音楽が、多くの人たちに届いてほしいです。なので、ご紹介の文章を作りました。良かったら聴いてください!https://t.co/zl3vW26jWL#可愛い連中 pic.twitter.com/9eryPyvkEK
先に言うぞ。
長い。
可愛い連中聴いてほしくて、感情ほとばしっている。
覚悟したら読んでね。
幸せが欲しくて背伸びしている女の子
唐突ですけど私の主観と偏見で話しますね、今から。
可愛い連中の前身バンドであるアカシックの音楽(特に歌詞)を好きな人って、究極に幸せになる方法を知らない人、幸せに不慣れなもんで上手く素直になれない人ではないでしょうか?
エビデンス?
私自身ですけど何か???
…と言いたいけど、さすがにそれじゃ話が広がらないので*1
これまでの作品の歌詞が、どれほど幸せ慣れしていない女の子の描写だったのか、遡って確認します。
幸せを夢見ていたのに
理想に目が眩む
煙草の吸殻数えだす悲だ
(中略)
とりとめなくなる前に帰る
帰ろう
灰皿作ろう…
嫌んなっちゃうな終電で帰る
一人で大丈夫
冒頭から、これ以上ないくらい幸せと縁遠い女の子。
こんなに悲しくてやりきれないけれど、「とりとめなくなる」かどうかを自分で判断できる。
だからちゃんと終電に乗る。一人で帰ることもできる。
けど、その分別の良さは時に、理想と現実の乖離を突きつける残酷な能力でもある、という。
とりあえずもう吸殻数えるの辞めよう…
好きな人のために禁煙したんでしょ!?でもまた吸っちゃったんでしょ!?*2
もう良い…もう何も言わないで良い…!!(もらい号泣)
幸せにしてあげたいのに
幸せが手からすり抜けていく恐怖を知っている女の子は、相手を幸せにしてあげたいという気持ちを行動に移すのも不器用すぎたりします。
醜い雨をうざがった 犬みたいな
抱えた黒いの 貸しなよ
連れ出してあげる
高い凄いケーキも食べさせてあげる
見たい映画に似合う 服も買おう
街を出て
誰よりずっと味方だけど
「尽くす」方法が不器用にも程がある。
「高いケーキ」はわかるよ、何だよそれ恐喝じゃんみたいな値段のホテルのケーキとかあるもんね。
うんうん。
でも、「高い凄いケーキ」って!!
敢えて語彙力を意識的に失う(?)ことによって「よくわかんないけどあんたのしてほしいこと全部してあげるんだから」というはちゃめちゃ強引で内心はちゃめちゃ弱気な愛情が浮かび上がってくる。
この歌詞の後にやってくるサビの歌詞が切なすぎるのでそれは是非聞いておくれ。
幸せを実感したいのに
この女の子、とにかく幸せを受け入れることが苦手なのでしょうか。自分が幸せだと思って生きていきたいと決心したですら、まだこの有様です。
アカシック「憂い切る身」2018.12.20@渋谷ストリームホール
憂い切る身の早さ今知った
これが一途か気が狂いそうだ
死ぬまでどうやって続けるんだ
幸せだったこと自慢したい最期は
この曲は私たちが縋るのも恥知らずなくらいの真摯な覚悟の歌なんだけど、敢えてこの文脈で語るとしたら。
私って死ぬ迄幸せになれないかもしれない。
「最期」という漢字のセレクトにそんな莫大な不安を感じてしまう。
そして「一途」に対して「気が狂いそう」という感想が出てくるところに、物事を深く考えすぎて自ら絶望に陥落しちゃう様子がひしひしと伝わってくる。
自己嫌悪で溺死しちゃうシンドロームな私(たち)はひたすらに胸が痛い。
その苦悩の中で生き抜いていく覚悟をする理姫さんのなんとカッコイイことか。惚れ惚れする。
ここで挙げた曲はごく一部ですが、やっぱり色んな曲の中に「幸せに手を伸ばしたくて背伸びしているけれど、うまくいかないし素直になれないし踏んだり蹴ったりで床に突っ伏して絶望している女の子」がいる印象なんです。
そんな女の子像に、どこか自分をフラッシュバックさせてしまう人の心臓を射抜いてくる音楽。
その歌詞の一喜一憂を、旋律や楽器音で再現させようと構成される音楽。
それが、アカシックというバンドの音楽。
幸せと地続きの場所で歩く女の子
ドラム山田康二郎氏の未来のために解散したアカシック。
そして、「理姫さんの結婚」という吉報と共に幕を開けた、可愛い連中という新プロジェクト。
今まで持っていた洋服もコスメも全部新調するような、ハイヒールからスニーカーに履き替えたような目まぐるしい変化に、驚いている方もいるかもしれません。
衝撃を受けたり、戸惑ったり、過去を振り返ったり。
そんなあなたの思想の自由を剥奪する権利は私にはありません。
でも、可愛い連中のこと、何も知らずに判断するのは勿体ありませんか?と。声を大にしたい。
久々にオタクは声を張り上げたい。
まず、これは強く言いたい。
可愛い連中の音楽は、私たちが手に入れたくて仕方ないのに上手く掴めなかった幸せを、これでもかと大事にしてくれる音楽なのです。
もちろん可愛い連中の単独のバンドとしての強み、良さがあると知ったうえでこの記事を書く。
あらゆる女の子のために、可愛い連中の曲のことを掘り下げて参ろうではないか!!
…お気づきでしょうか、やっと本題なのです(笑)
配信4曲、FC内限定公開2曲(2020年1月20日現在)を聞いただけで序論に2000字近く使うブログを書く私の狂暴っぷりは嘲笑ってくれて構わない。
けれど、可愛い連中の魅力に満ち溢れた活動と今後のさらなる活躍への期待は是非とも世に放出させてくれ。
連鎖する表現からオタクは勝手に考える
憂鬱なら憂鬱しかないから
一日喪に服した構えでも
目だけは見てるよ
息だけしてろよ
冷たい刃は自分を刺す 痛て
(アカシック 「マイラグジュアリーナイト」)
せつなさや涙並べて
喪に服していた間
君は成長してくれた
たくさん愛を証明してくれた
(可愛い連中 「ダ犬マイト」)
まず、「喪に服す」という言葉を歌詞に入れてくるセンスが絶句なんですけど。
どん底に落ちた自分が這い上がるために、生きていたいと執着する心の兆しを守ろうとする姿が見えますね。
「ダ犬マイト」には、マイラグジュアリーナイトの問答歌のようなフレーズがあります。
これ何が良いかって(勝手に私が思ってることですけど改めて)、ふさぎこんで何もできなくなる茫然自失な時間を否定したりしてないんですよね。
「喪に服す」こと自体は、アカシックのときも可愛い連中のときも変わらない。
SO、幸せになり損ねて考え事ばっかりしてしまう私たちのよう。
急に人格まで変わったらウェディングハイなだけですからね(辛辣なアラサーの意見)
そんな悩みの尽きない女の子のために、あなたが変わってくれたこと。諦めずに愛していることを伝えてくれたこと。
そこに喜びを感じ、幸せを見出す関係。
なにそれ…その幸せどこで手に入るの…
そして、愛を証明された女の子は、こう返すのです。(順番逆だけど)
ため息や涙を積んで
果てしなくいても
月には届かないよ
(可愛い連中 「ダ犬マイト」)
こんなに美しい愛の証明があるだろうか。
相変わらず悩み悶えている姿は私たちなのに、それを言葉に還元し向き合う姿は私たちには到底できない境地に達している恐ろしい人。
時間のとらえ方からオタクは勝手に考える
一生分の名前呼んで
脱いで汗まで離さないで
(アカシック 「ブラック」)
あなたの腕の中で あたしの人生台無しがいい
(アカシック 「ピンク」)
誰かにちゃんと守られた未来が欲しいよ
くだらないから言わないけど
(アカシック 「ベイビーミソカツ」)
もう書ききれないくらいに例がある。
幸せになれる予感さえしてこなくて一生とか未来とかの類の言葉が実態を伴っていないやつ。
ちゃんと確信できるようになりたいのに、安心したいのに、縋るものさえないような覚束ない状態。
威嚇ふぁぼしたりタイムライン更新しないでと願ったりしているときですね間違いなく。
旬が過ぎても
会いたいことを
覚えていて
季節は更に為になっていくはずよ
出会えたことで
終わらせないで
願いを聞いて
甲斐性をもって魅力を
発揮させてワンシーズン
(可愛い連中 「ワンシーズン」)
ずっと一緒にいたい気持ちを描いているのは今までと相違ないんだけど、「旬」ではない時が来てもそばにいたいこと、その気持ちがお互いのものであってほしいことがすらりと流れるように書かれているフレーズ。
二人で季節を重ねていくことも、持続していく生活を心から欲していることも、ちゃんと実態のある幸せのかたちとして受け入れられているような言葉たち。
他の曲でもこんな歌詞があります。
直向きさでいこう
思い詰めて答えが出ないのは
晴れ間にとっておこう
それならそれでいいだろう
(中略)
泣かないでよ
泣かないでもう大丈夫よ
(可愛い連中 「愛の言葉」)
晴れ間まで待ってくれるの…?(そこかい)
というか、自分自身が「喪に服して」苦しんでいた女の子が、今度は相手が喪に服すときに傍に寄り添ってあげることをさり気なく示してくれているんだけど…
これ以上の幸せってどこにもなくない…?
はあ。好き。
もう際限なくオタクは勝手に考える
以上べらべらと語ってきたようにアカシックと可愛い連中の曲では色んな違いがあるんです。連続性というか、延長線上にある。ようでない。ようである。
アカシックのときは、繊細かつ大胆にギターとキーボードが絡み合い、それをリズム隊が陰ながら柔軟に支えるように。
可愛い連中のときは、芯があるベースとちょっと腕力の増したギターが威厳を持ちつつも軽快さも忘れないように。
アカシックのときは、風に吹かれて飛んでいってしまいそうな儚さと胸を刺す甘い切なさをふんだんにメロディーに詰め込んで。
可愛い連中のときは、前を向いて歩く安定感と時々ふと不安になる気分のアンバランスな駆け引きをメロディーに溶かし込んで。
アカシックのときは、愛しいペットのことを「シャバの塵も絵に変えてくれた」と天使のように描き。
可愛い連中のときは、その子のことをどこまでも道連れにしてチャリに跨る親密さを描き。(まさに「可愛い連中」)
ねぇ。書いてて思ったんだけどさ。
可愛い連中、好きすぎて失神する(錯乱)
前述したように、私たちは幸せに不慣れなのです。
だからアカシックというバンドが生命線ギリギリのところで輝きを放っていたこと、彼らの華やかさと脆弱さの融合に心惹かれてきたのです。
だから、そんなバンドに惹かれる私たちは、例えば地に足のつかないようなウルトラハッピー超ラブラブソングじゃ幸せを感じ取れない。そうなのよ。一生添い遂げる人がいたとしても喪に服すだろうしどうせ。
そんな私たちに、ゆっくりと優しく幸せを受け入れていく日々の偉大さを教えてくれるバンド。
これが可愛い連中だなと痛感した訳です。
というわけで、これからもずっと連れていってね。可愛い連中!!
私は自分が幸せなのかどうかわからなくなったのでそろそろ限界です。さようなら。
DEMOではない音源が手元にやってきたら楽曲レビューします。
🐕報告🐩
— 可愛い連中 (@kawaii_renchu) 2020年1月18日
来月來る 東京公演の連中 第一陣がこちらです。
東京公演は
2/2 土曜 東京キネマ倶楽部https://t.co/TqCnQpESlh pic.twitter.com/Pw2ZqtVRXe
Weekend Brothers(ex Shiggy Jr)諸石和馬さん、あーちゃんさん(きのこ帝国)が参加しての可愛い連中初ツアーです!
乞うご期待。
※可愛い連中の歌詞は理姫さんのSNSに掲載されたものを使いました、DEMO音源収録段階のものらしいので変更あるかもしれません。その時はこっそりこちらも変えます。
※あと、FC限定公開曲は載せないからな!まだ!!
月500円払えば限定公開の曲も聴けるうえに理姫さんの化粧品の消費税くらいにはなれる幸せをかみしめられるんだから入湯しような。(オタク特有の早口)
【ライブレポート】元アカシックの新ユニット・可愛い連中、1stワンマンで初披露の新曲ばかり15曲熱唱https://t.co/x3uAA9aEeS pic.twitter.com/7L0VLUl1Oj
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2020年2月4日
可愛い連中の始動と共に情報解禁されたときの理姫さんの投稿がとっても好き。
絶対ついていくよ~
一緒がいいな、いいな
可愛い連中と~